2024年度 B年 年間第13主日: 造られた物は価値がある
神が死を造られたわけではなく、
命あるものの滅びを喜ばれるわけでもない。
生かすためにこそ神は万物をお造りになった。
世にある造られた物は価値がある。
滅びをもたらす毒はその中になく、
陰府(よみ)がこの世を支配することもない。
義は不滅である。
神は人間を不滅な者として創造し、
御自分の本性の似姿として造られた。
悪魔のねたみによって死がこの世に入り、
悪魔の仲間に属する者が死を味わうのである。
お元気ですか?
ご無事ですか?しぇるりんです(^ ^)
世界中に、いのちの危機が近づいています。
ガザで、ウクライナで虐殺が行われ、被害が拡大しているだけではありません。
「他人」「加害者」「死刑囚」などのいのちと死の尊厳と向き合う必要が分からない人間が増えています。
イスラエルのガザ侵攻でいちばん問題なのは、ハマスの殲滅を企てていることだけではありません。パレスチナ人を「アラーブ」「サル以下」扱いする悪の常態化です。
イスラエル現政権下でパレスチナ人がどれだけ努力しても、12歳の少年が決して届かない距離にいる警察官に向かって小石を投げても、数年の実刑判決が下ります。
パレスチナ人の殆どが、ヘブライ語を習うことが許されていません。そのため、少年には事情聴取や裁判で言われていることも理解できず、抗告も発言も出来ません。
これは、被害者である少年の人道危機だけではありません。少年を逮捕し、拘置し、判決を下すイスラエル人のいのちとたましいの危機です。
いのちの価値を忘却した彼らは、地上を彷徨う者となっても行き場がないかも知れません。
日本でも、自分の死と向き合うことはいのちと向き合うことだ…ということが急速に忘れ去られつつあります。
今週のテーマは「いのち」。そこで第一朗読の「知恵の書」を紐解いて見ましょう。
- 世にある造られた物は価値がある
「生かすためにこそ神は万物をお造りになった。
世にある造られた物は価値がある。」
欧米や南米などキリスト教圏の人々の九割ぐらいは、日本のクリスチャンが考える、宗教的な意味合いでのキリスト教を理解しているわけではありません。
それでも「すべてのものは天地の創造主の被造物であること」「十戒の教え」など、キリスト教の基本的なことがらは何となく感じながら育ちます。
その点、非キリスト教圏のアジア人にとって「天地の創造主である方が、天地創造のはじめからいのちをお造りになった」というキリスト教の教えは衝撃的です。
権力もお金も、世俗で得た何も評価されることない、主の被造物としての公平平等は、アジアには存在しない考え方だからです。
「造られた物には価値がある」というみことばの次に「滅びをもたらす毒はその中になく」とあります。
わたしたちは原罪の重さから、不安を覚え、不安から絶望を連想し、絶望は貪欲を引き起こし、貪欲は死と不安の深淵へと導く連鎖にハマりがちです。
いのちの本質は、父なる神が「生かすために造られた」ことにあります。
不安、貪欲、絶望は、より限りない欲望へと駆り立てがちです。
見える富や豪邸のような欲望から、権力、支配欲に至るまで、誰も悪の欲望から逃れられないように見えます。
投資の天才、ウォーレン・バレットの右腕と呼ばれるチャーリー・マンガーは「大切なのは多くの富を持つことじゃない。本当の幸せは、ほんのわずかなもので得られる」と語っていました。
私たちは、往々にしてマンガー氏には「ほんのわずかな数ドルのお金」を追いかけた結果、欲望の階段を一気に転げ落ちる傾向があります。
「造られた物=被造物には価値がある」というみことばに、耳を澄ませましょう。
いのちの本質に、滅びをもたらす毒は存在しません。不安、貪欲、絶望、葛藤…それらすべてはこの世で生きるのに必要な何かに関わるから、いのちの営みを左右しがちなのです。
では、悪の本質とはなんでしょう?
- 義は不滅である
「悪魔のねたみによって死がこの世に入り、
悪魔の仲間に属する者が死を味わうのである。」
この部分を日本語訳で読み解くと「悪魔とは神の義と人の子の信頼関係に強いねたみをいだく存在」のようです。
日本では伝統的に、秀でた能力の人や特別に高貴な身分の人が、自らの能力が認められず、妬みを受けて流罪や惨死した時に「祟りの霊」になると考えられて来ました。
祟り神信仰は奈良時代ぐらいからあったと、考えられています。有名な「祟りの霊」を八百万の神の一員として祭り、祟りを鎮める…というのが基本的な神道の「祟り神思想」のようです。
この類型で有名なのは、北野天満宮の「菅原道真公」。
ねたみ→人間による「お裁き」→祟りという妬み→祭神にして鎮魂する…考えが体系化したと考えられます。
キリスト教の教えでは、天地の創造主で父なる方と人間が信仰によって主の愛を信じ、希望を持つつよい絆があるという考えが、すべての根底にあります。
悪魔は、父なる神と人の子の強い絆を妬み、その絆を人間の弱さで打ち砕き、絶望の淵に陥れてあざ笑う「霊的非存在」だと言えましょう。
「霊が妬む」という点では、悪魔は八百万の神々に似ているように見えます。
八百万の神々の殆どが歴史的に実在、または伝承上「たぶん居たらしき」ニンゲン同士の妬みと鎮魂です。
その点キリスト教の悪魔は、天使のように純粋に霊的な存在です。悪は、時代や文化を超えて、人間の弱さにつけ入り、巧妙に悪へといざない、人間を悪の主体として動かす「名前のない霊的非存在」と定義できるでしょう。
人間が生まれ持ったいのちへの祈りを打ち砕き、不安と絶望に怯えさせ、父なる神と人間の深い信頼を打ち砕くことだけを目的とする、霊的実存です。
わたしたちは、悪霊のたくらみに負けるたび、原罪の深さに気づく前に、まず自分や他人の弱さ、罪深さを責めがちです。
大切なのは、自分や他人を責めることではなく、いのちの創造主である方への信頼に立ち戻ることです。
老若男女を問わず、わたしたちは「造られた物には価値がある」という信仰に招かれています。
どうぞ、すべてのいのちを大切に。
ご自愛ください。
6月30日(日・主・緑)年間第13主日
第一朗読: 知恵の書 1・13-15, 2・23-24
答唱詩篇: 65①②③(詩篇30・2b+4, 11+12)
第二朗読: コリントの信徒への第二の手紙 8・7–9, 13-15
アレルヤ唱: 269(13B)(二テモテ1・10参照)
福音朗読: マルコによる福音書5・21-43
△ 5・21-24, 35b-43
カトリック中央協議会《教会暦と聖書朗読2024年B年》より引用しました。)
動画配信情報(6月30日時点早朝):敬称ほぼ略
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2024/06/30 09:30 主日ミサ配信(試行中)・カトリック高円寺教会【年間第13主日】
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カトリック吉祥寺教会は、大祝日などには入場者制限があるため青年会がライブ配信する、とのことです。
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カトリック葛西教会/年間第13主日 ミサ・ライブ配信~2024年6月30日(日)10時
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※ミサライブ配信は復活祭(4月9日)で終了しました。今後は、感染状況を見て考えるとのことです。
※ Live streaming of the Holy Mass was terminated on the Easter Sunday.
カトリック末吉町教会
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年間第13主日 ミサ 6月30日9:30~
カトリック大船教会
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年間第13主日 2024年6月30日
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新潟教区宣教司牧方針
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カトリック広島教区「平和の使徒推進本部」Catholic Hiroshima Diocese
広島教区ライブミサ配信は、カトリック幟町教会チャンネルさんが主体です。世界平和記念聖堂が、とても美しいです
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年間第13主日 12th Sunday in Ordinary Time 2024 2024年6月30日)
京都 みんなで捧げるミサ
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(3)- 150周年日本の信徒発見
(3)まで来て分かったのが「演劇だった」こと。海外ではいまだ、日本の潜伏キリシタンについて日曜学校で教わります。
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永遠のいのちを信じます【カトリック入門・第165回】※レジュメ字幕付き
カトリック教会の基本的な知識や霊性などについて、初心者の方でも分かりやすく、山内堅治神父がひも解いていきます。
ゆるいTomap修道士配信チャンネル: こちら
女子修道院のシスターが手作りした体と心に優しい「トラピストの寒天ゼリー」食べてみた!
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伊万里トラピスチヌ修道院で作られた寒天ゼリーの紹介です。
・サンパオリーノ
※季節限定商品につき数に限りがあります。
・シトー会伊万里の聖母トラピスチヌ修道院
https://www.imari-trappistines.org/
Gerard GOUINEAUグイノジェラール
チャンネル登録:こちら
年間第13主日 2024年6月30日 説教 🤠知恵の書 1,13-15 ; 2, 23-24詩編 30, 2, 4. 6. 11-122コリント 7, 9. 13-15マルコ 5, 21-43
おなじみ今週のお説教。
カトリック神学・霊性フォーラム Come and See !: こちら
カトリック神父のつぶやき 「タリタ、クム 『信仰』はイエスへのタックル 低く飛び込め❣」B年 年間第13主日 2024年6月30日
今週のお説教は、ラグビー、またはアメフトファンの神父さま?
オマケ!
【御聖体の奇跡】現教皇フランシスコ(ベルゴリオ枢機卿)調査 ブエノスアイレスの奇跡 科学的調査
教皇フランシスコの真の奇跡は、「僕の中の僕」であることをみずから率先して行いであらわしたことでしょう。
※YOUTUBEでのチャンネル登録者数や再生回数の増加、および操作回数とわたしの検索頻度により、ライブ&動画配信情報に時差が生じております。ご容赦ください。YOUTUBE配信とカトリック教会の宣教活動の関わり合いについて、新型コロナ禍が教えてくれたことを踏まえ、今後の方針を聖なるカトリック教会の意志の添い決めたいと思います。
霊的読書(レクチオ・ディヴィナ)とは、聖書(主に福音書)などを音読し、その中の「ちょっと気になる一句」に心を留めて、祈りのうちに神さまを思い、その一句を通して神さまと語り合うことを指します。ブログ中の聖書の解釈に関する内容は、しぇるりん個人の感想です。聖句そのものと、地理、人間関係などの事実関係は、特別な記載がないものは、日本聖書協会2008年版≪新共同訳 新旧約聖書続編つき≫の解説部分に依拠しています。詳しくは、日本聖書協会発行の≪新共同訳 新約聖書≫≪新共同訳 聖書≫をご参照ください。なお、ミサの朗読福音は、カトリック中央協議会発行の《毎日のミサ》によります。
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